私は西宮市にある栄潤寺というお寺で25年間学んでいる檀家であり、お大師さんの信徒でもあります。
職業はデザイナーで自身デザインしたものを製造販売しております。
2010年にはプレタポルテ・パリに私の商品を出展致しました。
その際、痛切に感じたことは海外と戦っていくときの最大の武器は信心であるということです。
かのラルフ・ローレンも大変な信心家で「人に喜ばれ永く愛されるものを作るには信心なくしては作れない」と言ったそうです。
格は違いますが私も物作りの端くれの人間として共感するものがありました。
円生院さんとはご住職とご縁をいただき現在に至っております。
この度は私の思う「お寺」について話をさてもらいます。
「越智さんはいつも元気ハツラツですが何か秘訣でもあるのでしょうか。
それとも元気を与えてくれる場所をお持ちでしょうか」と、パワースポットめぐり好きの昨今の女子から質問をされることが多くあります。
私は「秘訣があるとすれば自分が学び成長させてくれる寺と縁を持っていることですかね」と答えます。
彼女らは怪訝な顔をし、こう言います。
「お寺とはいったい何ですか?お寺に行ったことはありますが、葬式や法事のためにあるものでそれ以外全く解りません。
お寺が無くても携帯電話があれば生きていけまーす」と。
「わけのわからんことを言いよって」と思いながらも、これが現実かと気付かされます。
彼女たちには自分で経験したことをかみ砕いてわかりやすく説明します。
「お寺は汚物処理場です」これを言うとびっくりした顔で話に耳を傾けます(目が点になります)。
なぜお寺が汚物処理場なのかというと、皆さんはそこで色々な願い事(病気・仕事・恋愛・家族等々)をなさるでしょう。
つまり、それぞれの願い事が心の汚物(念)なのです。
念とは本物よりも、もっと汚いものです。
汚物処理の作業とは皆さんが落としていった心の汚物をきれいに洗い清めることです。
そして寺の方々がご本尊様にあなたのきれいになった願いを伝える。
勿論努力する人に限ってご本尊様が願いを受け取っていただけます。
努力もしないで願いがかなう仏様がいるのなら私は毎日お寺で願っているでしょう。
また次に願いを落としに来る人が前の人の念に触れることなく気持ちよく落とせるように清掃するのがお坊様の役割でしょう。
パワースポット巡りもいいでしょうが、そこは沢山の心の汚物が山盛りになり処理されてない所も多いと思います。
自分の菩提寺がある人は法要の時だけでなく、月参りをしてしっかりと心の念を落としていってください。
ない人は「自分が気持ちよく手を合わせることが出来る」と感じるお寺を捜し自身の願いを落とすことです。
頭で考える前にまず行動。
こうしてお寺の存在を説明したら、「もっと詳しく教えてほしい」と連絡がよくあります。
その子たちも何かに迷い、何かを真剣に求めているのだと分かり、捨てたものでもないなと感じます。
またお寺の存在がわからない温旅行好きの中高年の方には「お寺はプレミアム・スパー温泉です」と説明します。
皆さんは体の垢や疲れや伴侶のストレスを取るために温泉に行かれることがあると思います。
確かに温泉に浸かって亭主、妻の悪口を言ったり姑の悪口を言ったりしてストレスは解消されるでしょうが、家に帰ればまた顔を合わせ、ストレスがたまるという繰り返しだと思います。
私は主婦の労働がどんなに大変なものかよくよく分かっているつもりですが、自分も含め多くの亭主が妻に感謝し「いつもありがとう」と、たった一言、これだけのことを妻に対して言えたなら家庭円満に毎日に暮らせるのに。
わかっていながら口に出せないのが世の亭主です。
温泉の主な効能は「ありがとう」という互いに感謝する気持ちが芽生えることです。
何度も浸かりに来ると体の芯まで効いてきます。
不思議なものです。
この不思議な温泉効果を体験できるのがお寺です。
私は事あるごとにプレミアム・スパー温泉に行き温泉効果をもらい心の垢を洗い流しておりますが、きれいになったと思ったら翌日にはまた垢がつく情けない人間です。
何せ生身の人間ですので煩悩が多く死ぬまでここに通うことになりそうです。
煩悩がもっと少なかったら自分の風呂(家の仏壇)で十分間に合うのにと反省と懺悔の日々を過ごしています。
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