<前回の続き>
「絵が描けるんやから、描かな勿体ないで。」小説家を志すその友人は、中学の頃から僕が漫画家になるのを応援してくれていました。むりやり元気付けようとしたり励まそうとしたのではなく、心からぽろっと零れ出たようなニュアンスに、また自分の進むべき道に光が当たったのを感じたのです。
その後、多くの友人や先輩に力を貸していただき、イラスト制作事務所『STUDIO IDU(スタジオイヅ)』を設立することができました。当初は漫画制作ではなく、イラスト制作を中心とした業務内容で、「もう一度、描くという仕事を勉強し直そう。」という気持ちも湧いてきていました。
一年目はキャラクター制作や似顔絵制作の仕事を中心に活動し、二年目からはスポーツ専門誌で漫画の連載を任せていただけるようになりました。会社のロゴや、お店の看板デザインなど、依頼内容の幅も徐々に広がっていき、昨年、コスモスの名所で知られる般若寺のオリジナル散華を制作したことをきっかけに、地元奈良に関する仕事も増えてきたように思います。この般若寺の副住職は、元プロボクサーという経歴を持ち、度々メディアでも取り上げられる知る人ぞ知る人物ですが、実は僕の中学校の同級生でもあります。ボクサーと漫画家、目標は違えど十代の頃から切磋琢磨してきた仲で、彼が僧侶となった今でもその関係は続いています。
そんな彼から依頼をいただき制作したオリジナル散華ですが、完成後、彼は出来上がった散華だけでなく、僕自身のこともあちこちで宣伝してくれ、「奈良にこんな漫画家がいますよ。」「イラストでも漫画でも一度頼んでみて下さい。」と触れ回ってくれました。そのおかげで、新たに奈良で活躍する先輩クリエイターや編集プロに出会うことができ、僕の作り手としての世界が広がっていきました。そして今回、また有り難いご縁があって、長弓寺円生院の池尾宥亮さんからご依頼をいただきました。大和十三佛が描かれた十三枚の散華を制作することになったのです。10月31日から11月2日まで行われる『こうやさんフェスタin奈良』というイベントの中に、大和十三佛お砂踏みという催しがあり、そこにお参りいただいた方々にお配りするものだそうです。僕が描いた散華をきっかけに、十三佛とそれを祀る十三のお寺を深く知っていただくという責任のあるお仕事です。9月21日現在、そんなプレッシャーを感じながら十三佛のイラストを鋭意制作中。みなさん、大和十三佛お砂踏みに是非お越し下さいね。そして十三のお寺を巡ってみてください。(宣伝と懇願)。そんなわけで、現在スタジオイヅは四年目に突入し、有り難いことに仕事も年々増えてきています。みんながいなければとっくに諦めていただろうなと痛感し、感謝してもしきれません。
僕のカラダに蒔かれた種は多くの人との出会いにより、光に照らされ、栄養を得て、途中細くなったり曲がったりしながらも少しずつ確実に育っています。「友達をひろく持てるように、友宏。」そう名付けられて良かった。でも、その友達に世話をかけてばかりの人生では罰が当たります。これからはお返しをする番。僕が作った漫画やイラストで笑顔になってもらえるよう、花を咲かせます。

STUDIO IDU モーニング 「ちばてつや賞」大賞受賞。ヤンマガ月間新人漫画賞入選。月間バスケットボールにて「ブルーナイツ」連載中。
漫画制作の他、オリジナルキャラクター制作や、ロゴ制作、似顔絵制作など、幅広く活躍中。 かわいいキャラクターからスタイリッシュなロゴまで、コンセプトやニーズに合ったイラストが好評。 http://idu23.com/