〈 前回の続き 〉
古い歴史を持つ地域は日本中にたくさんあっても圧倒的に違うのは、この「日本の国のはじまりの地は、この奈良でしかない」という点なのです。この他のどの地域と隔絶した違いが奈良の独自性であり、それ故に、富士山を含めて日本にわずか13カ所しか無い世界遺産の内の3つまでもが奈良県に存在したり、教科書に出てくるような有名な神社・仏閣が軒を並べていたり、国宝の数がずば抜けて多かったりするのです。それらの一つ一つの事象に注目するのではなく、なぜ、このように豊富な文化遺産が千数百年の時を経て、この奈良の地に残されているのかということに注目してほしいのです。そうすれば、この奈良の地が「日本の国のはじまりの地」だからこんなにも多くの重要なものが残されているのだということに気づくはずです。
この奈良の持つ普遍的な価値「日本の国のはじまり 奈良」という軸足が定まって「修学旅行ガイドブック」は世に出ました。
その後、奈良とは何と聞かれたら、ためらうことなく、「日本の国のはじまり」です。「そして、あなたがそのことについて考えるなら、ぜひ一度奈良でその息吹に触れて下さい。きっと古の時代に、この国が営々と形づくられたその営みを、そしてその国づくりの胎動を、現在に残されている文物やこの地の空気に触れることで感じることが出来るでしょう。」と伝えることが出来るようになりました。
この3月まで、東京事務所の情報発信担当の副所長として勤務し、「奈良まほろば館」を担当するとともに「日本の国のはじまり 奈良」という奈良の持つ普遍的な価値を機会を見つけて首都圏で発信してきました。
この「奈良は日本の国のはじまりの地である」とういことは、聞いてみれば、ああそうか、そんな当たり前のことと思われるはずです。でも、単純だからこそ、一言で表せるからこそ真理なのです。それが普遍的な価値だということなのです。
現在、奈良まほろば館のクリアファイルには奈良県のキャラクターのせんとくんと共に「日本の国のはじまり 奈良」というロゴが入っています。 また、これまでアサゲニホンバシや人材育成塾の自治体研究講座などでも奈良県の持つ普遍的な価値を発信してきました。また、今年度奈良まほろば館においても、「日本の国のはじまりを考える土曜イブニングセミナー」と題し、3世紀から8世紀にかけて日本の国がどのように形作られてきたのかを、桜井市纏向学研究センターの寺沢薫所長による倭国の成立からヤマト王権の誕生までの過程をたどる第1期「日本列島の国家形成」にはじまり和田萃先生、菅谷文則橿原考古学研究所長と繋ぎ、8世紀の文化の隆盛を井上さやか万葉文化館主任研究員に語っていただくという豪華な12回連続のセミナーが好評開講中です。
このような取り組みが粛々と続けられていますが、まだまだ、「日本の国のはじまり 奈良」が広く、深く浸透しているとは言いがたい状況です。しかし、この奈良の持つ圧倒的な普遍的な価値は不変・不朽です。ぜひ、この文章を読まれた皆さんも是非、一度その視点から奈良を見直してみてください。現地を歩いてみてください。なるほどな、と思ったら周りの方々にも吹聴してください。
たくさんの方々に「日本の国のはじまりは奈良である」ということを実感していただけたら、この地に住む者にとっては「誇りの地」に、他の地域に住む者にとっては「憧れの地」になると思います。その共感の広がりが奈良をずっと後世まで「日本のはじまりの地」として大切に伝えていくことにつながるのだと思います。 私も、この日本の国のはじまりを感じることのできる奈良の素晴らしさ伝える一人として、「日本の国のはじまり 奈良」の伝道師の仕事を続けて行きたいと思っています。